きろく

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花組『邪馬台国の風』感想 は?(追記あり)

あまりの衝撃に観劇後Twitterで感想を吐きまくってしまい、ブログ書くのが遅れた。
なんというか、事前にムラ組のツイートの数々を読んで「こいつはやべえぞ」と覚悟はしてた。
…が、予想以上にヤバかった。ナメてた。

以下、感想です。

どうしてこうなった

まず始めに言っておきたいのは、ジェンヌさんたちは1mmも悪くない。むしろ、あの脚本と演出でよく頑張ってくれた。
なんというか、褒められるところがジェンヌのビジュアルしかない。
脚本はトンチンカン、演出は(悪い意味で)古い宝塚、楽曲は特に耳に残らず…と、本当に良いところがビジュアルしかない。

舞台を観ていて、こんなにも首を傾げたくなったり、『笑い』や『萌え』以外で口元に笑みがこぼれたり、時間の流れがゆっくりに感じたりしたのは初めてだった。
ぶっちゃけ、気が散りすぎて途中から隣の席の人の唾を飲み込む(音がすごく大きかった)回数を数えてた。

色々突っ込みどころは多すぎるくらいあるけど、なんでこうなった…?
なんというか、中村先生は本当にこれで面白いと思って脚本書いたの…?本当に、この演出で魅せられると思ったの…?なぜ……。

突っ込まずにはいられないポイント

基本的に今作品は突っ込みどころの集合体みたいな感じだけど、中でもすごかったものを挙げてみた。

  • 袖にはけた次の瞬間、大人に成長して戻ってくるみりお
    師匠である李淵と特訓に励んでいる、少年時代のタケヒコ。
    「ヤーッ!」と言いながら袖にはけたかと思うと、次の瞬間「ヤーッ!」と棒を振り回しながら、成長したタケヒコ(みりお)が現れた。
    しかもその後李淵「あっという間に大きくなって…」と言うもんだから、客席は爆笑である。
    でもこの爆笑、おそらく中村先生は予想してなかったと思われる。なぜなら、このシーンは本来ギャグではないはずなので……。
    でも、どう考えてもギャグシーンにしか見えないし、これで笑うなってほうが無理でしょ。これが『絶対に笑ってはいけない邪馬台国』だったら、客席の9割がケツバットだと思う。

  • 基本的に上手から登場し、流れるように下手にはけていく
    片方の袖から登場すると、横に歩いて行って流れるようにはける。その姿はまるで2Dのゲームのよう。3次元なのに。

  • 暗転祭りで目に優しくない
    これでもかってくらい、パカパカパカパカ暗転する。
    暗転しないで場面転換できないのか…!?照明係の指が腱鞘炎になりそう。

  • 歌詞が同じフレーズの繰り返し
    基本的に、どの歌も歌詞が「◯◯◯~~△△△~~◯◯◯~~△△△~~」といったように、2つのフレーズを繰り返す。
    瀬戸かずや氏による『とばりの中に(別名:おのこソング)』は、一度聴いたら耳から離れなくなること間違いなし。

  • テンション最高潮の奇跡だ祭り
    中盤でタケヒコが盟神探湯をすることになるが、熱湯に腕を入れても火傷を負わず、奇跡を起こす。
    すると、次の瞬間、周囲にいた人たちが「奇跡だーーーーーー!!!!!!!!」と、突然側転し始める。
    何その高テンション??自分がタケヒコだったらドン引きだよ……。
    そんなタケヒコを無視して、周囲の人たちは『奇跡だ祭』で大興奮。客席の観客は、謎のテンションに置いていかれるのであった……。
    ヒミコ様の寝室に男が!┗(^o^;)┓タケヒコを捕らえよ!┏(;^o^)┛ただちに盟神探湯じゃ!(´・`; )こ… これ…これは………奇跡だああぁああああ┗(^o^)┛WwwwWWww┏(^o^)┓ドコドコドコwwwwwwww

  • 突然のコスモ
    観劇前にやたらとムラ組の人たちが「突然のコスモ」ってTwitterで言ってて、さっぱり意味がわからなかった。
    でも、観劇したらその意味が分かった。ナニコレ。なんかもっと…もっとそれっぽいライトあっただろ!!?

  • 無理やりタイトルにつなげた感満載のラスト
    どうやら、東京公演からラストが演出変わったらしい。
    最後の最後に「ビュウゥゥウ…」というなんとも寂しい木枯らしのようなSEが追加された。
    タイトル聞いた時は荒々しい風や暖かみのある風を想像していたのに、まさか木枯らしとは…。

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 邪馬台国があまりにもインパクト強すぎて、ショー『Sante‼︎』を観る時にはもうHPカラッポだった。
個人的には好みのショーというわけではなかったけど、邪馬台国のモヤモヤをうまく晴らしてくれる、パワフルなショーだったと思った。
余談だけど、マイティの女装で肋が浮いているのを見て「もっと食べて!!!!」という母親みたいな気持ちになった。

自分はまだヅカオタ研3だから、いわゆる『トンチキ芝居』の耐性がない。
だから、「こんくらい、過去の◯◯に比べればマシ」とピンピンしている歴戦のヅカオタの方々を見ていると、私はペーペーだからこんなにもダメージを受けたのかな、とも思った。
でも、客として高いお金を払っている以上、劇団にはしっかりとした脚本を書いてほしいな……。いちオタクの希望だけど、ジェンヌのビジュアルに頼ったり、「トンチキも含めて宝塚」という言葉に甘えたりしないでほしい…。
おそらくジェンヌ側も、登場人物に感情移入できず、演じづらいところがあると思うし…本当に頼みます。

ただ、「駄作すぎて怒りが込み上げてくる作品」ではなく、「駄作すぎてもはや笑いが込み上げてくる作品」だったから、ちょっとずつツボにはいってきた。もう1回は観たくないけど。

【2020年追記】

この後、スカステで放送された東宝千秋楽や新人公演、WOWWOWの円盤映像など何度も見てしまったから「もしかすると100周回って自分は邪馬台国を愛しているのかもしれない…」ってなってる。怖……。